食中毒って怖いものだと知ってはいても、どんな種類でどんな原因でなるのか案外知らないものです。
実は食中毒には私たちが見聞きしたことのあるもの以外にも種類があり、それぞれ発症する原因や時間、症状が違っていたりします。
そこで今回は食中毒の種類と原因、症状や起きやすい季節についてまとめていきたいと思います。
目次
食中毒の種類と原因
食中毒の原因となる病因物質は大きく分けると「細菌」と「ウイルス」ですが、実はその他にも化学物質や自然毒などもあります。
- 細菌性食中毒
- ウイルス性食中毒
- 自然毒食中毒
- 化学性食中毒
- 寄生虫食中毒
細菌によって発症する食中毒は「感染型」と「毒素型」の2つに分けられます。
【感染型】
摂取した細菌が体内で増殖し病原性を持つことで起こる食中毒。
代表的な病因物質は、サルモネラ菌・病原性大腸菌・リステリア菌などで、魚介類や食肉・鶏卵などに多く、特に生食には注意が必要。
【毒素型】
細菌が毒素を産出した食品を口に入れることで発症する食中毒。
病因物質は、黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌で、おにぎりやサンドイッチ・加工された穀物食品で発症するケースが多い。
ウイルスに汚染された食品や水、ウイルス感染者の手に触れた食品を摂取したり、感染者のつば・便・嘔吐物を介して発症します。
食中毒の多くがこのウイルス性食中毒で、代表的なものにはノロウイルスがあります。
また、カキや貝類で感染しやすく、ノロウイルスの場合は10~100程度の少ない数でも発症することがあります。
動物や植物が本来持っている毒素や食物連鎖の途中で毒を含むようになったものを指し、その種類は「植物性」と「動物性」に分けられます。
【動物性】
ふぐや貝が持つテトロドトキシン、サキシトキシン、ゴニオトキシンが主な毒素と言われている。
【植物性】
代表的なものは毒キノコやじゃがいも・トリカブト。
中でも毒キノコは「神経系症状型」「胃腸症状型」「猛毒型」に分類され、猛毒型はトリカブトと同様に重症化すると生命に危険が及ぶことも。
化学物質が病因になる食中毒で、主に洗剤や農薬の誤飲・食品添加物などから引き起こされると考えられています。
また、なんらかの過程で環境汚染物質が食品に混入して引き起こされた場合もこの食中毒に分類されます。
生鮮魚介類や肉類・水などにいる寄生虫によって引き起こされる食中毒で、特にアニサキスという寄生虫が原因となる食中毒が多いとされます。
本来人間の体では成長しないものですが、まれに胃や腸に入り込んで食中毒症状を引き起こします。
また、馬肉によくみられるサルコシスティス・フェアリーや、ヒラメにみられるクドア・セプテンプンクタータも寄生虫食中毒の原因ということが分かっています。
食中毒にならないためには日頃の食品管理が重要となります。
肉の生食は避ける(十分に加熱する)、魚は早めに内臓を取り除き完全冷凍するなど、寄生虫を死滅させる工程をしっかり経るようにしましょう。
食中毒の種類別の症状を解説
サルモネラ菌
十分に加熱していない卵・肉・魚などが原因(生卵・牛肉のたたきなど)で、乾燥に強くて熱に弱い特徴があります。
症状:食後6時間~48時間、吐き気・腹痛・下痢・発熱・頭痛など
黄色ブドウ球菌
人の皮膚・鼻や口の中にいる菌で、傷やニキビを触った手で食べ物を触ると菌が付きやすくなるため、加熱した後に手作業をする食べ物(おにぎり・調理パンなど)が原因となります。
この菌が作る毒素は熱に強く、一度毒素ができてしまうと加熱しても食中毒を防ぐことはできません。
症状:食後30分~6時間、吐き気・腹痛など
腸炎ビブリオ菌
生の魚や貝などの魚介類(さしみ・寿司など)が原因で、塩分のあるところで増えるため、真水や熱に弱い特徴があります。
症状:食後4時間~96時間、激しい下痢や腹痛など
カンピロバクター
十分に加熱されていない肉(特に鶏肉)や飲料水・生野菜などが原因で、その他にもペットから感染することもあります。
乾燥に弱く、加熱すれば菌は死滅します。
症状:食後2~7日、下痢・発熱・吐き気・腹痛・筋肉痛など
腸管出血性大腸菌(O157・O111など)
十分に加熱されていない肉や生野菜などが原因で、熱に弱いため十分に加熱すれば防ぐことができます。
ただし、症状が重症化すると最悪の場合死に至ることもあるので侮ってはいけません。
症状:食後12~60時間、激しい腹痛・血が混じった下痢など
ノロウィルス
カキなどの二枚貝を生や十分加熱しないで食べた場合や、ウイルスに汚染された水道水や井戸水などを飲んで感染することがあります。
熱に弱いので食べる際は85度以上で1分間以上加熱を心掛けて下さい。
また、食中毒にかかった人の便や嘔吐物から感染することもあるので、触ってしまったら石けんでよく手を洗うことが必要です。
症状:食後1~2日、吐き気・ひどい下痢・腹痛など
E型肝炎ウィルス
十分に加熱していない豚などの肉や内臓(レバーなど)を食べたことが主な原因で、海外の地域によっては生水や生ものから感染する場合もあります。
熱に弱いので、生食を避け中心まで十分に加熱すれば防ぐことができます。
症状:ほとんど症状は出ない。ただし、一部の人は感染から平均6週間経つと倦怠感・皮膚が黄色く変色・発熱することも
食中毒の種類で起きやすい季節とは
食中毒は年間通じて発生しますが、特に多い季節が夏と冬です。
6~9月の夏場に最も多いのは、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌・サルモネラ菌を原因とする細菌性食中毒です。
細菌性食中毒の原因菌は37℃前後で最も繁殖し、湿度の高い時期に活動的になるため夏場が多くなります。
ここ数年の傾向として冬場はウィルス性食中毒が急増していて、その中でもノロウィルスが代表的です。
また、冬でも暖房で室内温度が高いため、本来なら発生しにくい細菌性食中毒も発生しているので、冬だから安心と気を許しては絶対にいけません。
まとめ
食中毒は暑い時期だけのものではなく寒い時期にも起きます。
食中毒にならないためにもなるべく肉や貝類の加熱を十分にしたり、魚の内臓は早めに取るなどに気を付けて下さいね?
また、感染を防ぐためにも手洗いを入念にするなど、日頃から衛生面にも気を配るようにしましょう。